もうこはん日記

いまだ青い尻を晒せ

脂肪宣告

デブってきた。

数か月くらい前にクスリを止めてから、急速に体力と食欲と、そして脂肪が戻ってきた。
(なんかこう書くとジャンキーみたいだけど、まあ実際にそんな感じだった)




ケミカル・ブラザーズ「Setting Sun feat. Noel Gallagher」 - YouTube



会う人、会う人「あれ、太った?」と聞いてくる。
病気の伯父さんの見舞いに行けば、伯父さんは少し喋るのも咳き込んで辛いのに、それでもわざわざ「お前、太ったか?」
口の悪い奴らは、一緒に飯を食ったあと、膨れた僕の腹を見て「醜い」「終わってる」「でぶん、としてるね!」「人豚が」
少し泣いた。
これはまずい。




Fatboy Slim - Right Here Right Now - YouTube



心は痩せこけたチンピラなのに。
月に向かって吠えたり、誰彼構わず噛みついたりとか、そんな野良犬の美学を追及しようというのに。
実際、僕は太ってきている。

このまま順調にデブ道を邁進してしまえば、ここ最近の僕の言動に、なんの説得力もなくなる。
もとより、僻みによって構築され、根拠に乏しく正当性もない、世間への見苦しい呪詛。
それに辛うじて、なにがしかの思想性なりを(少なくとも、僕自身だけはそう信じる)与えていたもの、それが、僕が百貫デブへとメタモルフォーゼすることによって、完全に失われる。

夜の東中野で苛立ったように電信柱を殴っても、それは世間の見えない力に抗ってとか、ずっと抱き続けすがり続けた夢に裏切られてとか、そうゆうことでもなく、さんざん並んでやっと入ったラーメン屋が凄い期待外れで激高しているんだろうな、とか、ああ、貴乃花部屋の力士がテッポウ稽古してんだな、ごっつぁんです、とか思われる。だって、デブだから。
まあとにかく「人生は下らない」とか憂い顔で呟いてみても「いや、お前、すげえ飯食ってんじゃん。人生満喫してるだろ。あと汗拭けよ。汚なッ」と速攻ツッコミが入る。デブだから。

耐えられない。

いや、断っておくけど、僕は別にデブを差別してない。
むしろ愛している。
街角で太った人を見ると、すごく得した気分になる。
目の前でフゥフゥ言って大盛り飯をかっくらう姿を目にすれば、人間の生命力とか業とかそうゆうものに打ちのめされ、痺れてしまう。異常に食う人に興味深々。大食いは、実は奥深いよ。
中学のときに、黒いデブと白いデブと僕の三人でハイキングに行った。黒は道中ずっとなにかを食べていて、オヤツを食い尽くすと機嫌が悪くなり、白は「塾の時間に間に合わない」としか言わなくなった。ダイヤモンドみたいな、最高に輝く思い出だ。
そう、僕は太った奴が好き。

でも、自分がなるのは嫌なのだよ。
坂道をゴム毬みたいに転がり落ちる体型にはなりたくないんだよ。

あれ、俺、なんだ、単にすごく嫌な奴だな。
でもデブで嫌な奴にはなりたくないです。




Tsuyoshi Nagabushi 長渕剛 - ろくなもんじゃねえ - YouTube



まあ、いまの僕はチンピラ時代の長渕みたいな気分なのね。だから太りたくないっていう話ですね。
理想はね、ガリガリですよ、ガリガリ。もう「クスリやってるよね?」くらいの。いまは程遠いけど。

そういうわけで、運動に励む。
先頃から、異様な執着をしている麺食も、カロリー控えめを心がけたい。

人生は色々だし、気に食わないことも多く、または気に食わない自分が一番気に食わなかったりして、そしてやっぱりチンピラ化していく毎日だけど、それらはすべて、ダイエットだ。そう思えばいいだけだ。
雑用、単純肉体労働、痴話喧嘩、大歓迎。シェイプアップに打ってつけ、さらにお小遣いまで貰えちゃう! そんな日々はなかなか笑えるぜ。
さあ、例えばその小遣いで、安酒啜って豚骨ラーメン手繰って寝ちまおう……、じゃ、ねえや。

手ごろなビデオカメラでも買おうと思います。
メモ帳に、役にも立たないことを殴り書き。
呪詛でもなんでもいいから、とにかく吐き出さないと、心も身体も壊してしまうね。

腹を凹ます、心は凹まない。
うまいこと言ったか? 別に言ってねーな。

俺を連れてってくれ、中性脂肪よりも遠くへ!




Siam Shade- せつなさよりも遠くへ ( Setsunasa Yori Mo Tooku E) - YouTube



劇終。


PS
この上、さらに深刻に禿げたりしたならば、僕は一切の自己主張をやめます。
穏やかに、大人しく、人に迷惑をかけずに貝になります。

ぱぱい。