もうこはん日記

いまだ青い尻を晒せ

2009-01-01から1年間の記事一覧

ずりずれいよう

モツの部屋に三日目。 自分は汚い部屋というのに免疫がある方だと思っていたのだが、実はそうでもなかった。部屋のドアを開けるとまず「ぎゃっ」と叫んだ。モツは、これでもちょっとは片付けておいたのだ、と言う。確かに台所の脇にパンパンに詰め込んだゴミ…

恋文地獄篇7~二度目の春・後編~

『拝啓愛しい恋人よ桜は散ってしまうから美しい、と人は言う。消えてしまうと分かっている儚いものを、人はどうして愛するのだろうか。桜は散ってしまい、そしてまた咲くのだ、それでいいじゃないか、と君は言う。でも、やっぱり僕には耐えられそうにない。…

恋文地獄篇6~二度目の春・前編~

『拝啓恋人よ春は人の心をゴム毬のようにするらしい。後先考えられずに弾んで、それから落ちる。出口のない部屋に転がってゆく。恋人よ、君は春に似ているのかもしれない。始末におけないのは、それが何度も巡って来るものだからだ。君はもう何度やって来て…

恋文地獄篇5~冬のおわり~

『拝啓。愛しい恋人よなにかに裏切られたとか、なにかを失ったとか、そんなときに思い出すのは、いつも君のことだった。それは君を恨んでいるからとか、そんなことばかりではないような気がする。悲しかったり、やりきれなかったりするときには、君が大きな…

恋文地獄篇4~冬のはじまり~

『拝啓恋人よ冬が来たようです。コンクリートの壁を伝うように、凍てつくような寒さが僕の部屋を包んでいます。そちらは、寒くはないでしょうか?恋人よ、こうして時候の挨拶なんて並べてみたって、意味のないことは分かっているんだ。どうせ君には届きはし…